◇立川市の仙骨矯正の専門院◇
整体やまつばき
アクセス | バス停 金比羅橋下車 徒歩3分 |
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<目次>
仙腸関節痛 を判断する際の諸注意
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仙腸関節痛は、仙腸関節以外の部位がトリガー(発端)となり症状を引き起こしているため、症状改善には各々のトリガーを減らす必要があるという理論です。
見方を変えれば、確固たる診断基準や対処マニュアルがない混沌とした状態にて、精度の高いアプローチを求められるのが “仙腸関節痛” の特徴とも言えます。
・『仙腸関節痛における複数トリガー理論』のPDCA
【共通症状のみでは仙腸関節痛が改善しない】
仙腸関節痛の疑いがある患者A、B、C、Dにおいて、状態を確認します。
仙腸関節関連 | その他症状 | |
患者A | 歩行時 | 肩、股間節痛 |
患者B | 仰向け寝 | 座骨神経痛、膝痛 |
患者C | 階段上下 | 首の動き、腰痛、 股関節の硬直、足首硬直 |
患者D | 歩行時 | 首・肩こり、座骨神経痛 |
ここで大切なのは、いったんは仙腸関節に関連する症状をあえて考慮から外すことです。そうすることで、単純に患者同士で共通している事項に気付くことができます。
次に、仙腸関節の症状で類似している患者同士(AとD)、類似はしていないが同様のその他症状がある患者同士(BとDなど)に対して、その他症状を改善させるための施術アプローチを行います。
例えば、股関節へのアプローチがA、C両患者の仙腸関節痛を緩和させたなら、トリガーとしての優先順位を高くします。
ただし、すべてのケースで有効とは限らないため、仙腸関節の症状に合わせ、トリガー優先順位のパターンを構築していくことが必要になります。
・三カ条
1. | 仙腸関節以外の可能性を疑い考慮にいれること |
2. | 複数のトリガー(発端)を想定し、対処できる準備をすること |
3. | “原因の断定”が思考を狭め、アプローチ精度を下げるリスクを知ること |
仙骨(仙腸関節)は重心があることから、バランスの影響を受ける関節系統全般に症状があらわれるリスクがあります(上は頭蓋から、下は足指・足首から)。
上記より、「仙腸関節がすべての原因であり、改善すれば症状がすべて解決する」という誤った論理に飛躍しやすく、注意が必要です。
確かに仙腸関節は大切ですが、①「仙腸関節痛が起因 ⇒ 他の症状」だけではなく、②「他の症状が起因 ⇒ 仙腸関節痛」や ③相互に関係しているのケースもあります。
・影響の3パターン
1 | 仙腸関節が要因 | 仙腸関節 | → | 他症状 |
2 | 他症状が要因 | 仙腸関節 | ← | 他症状 |
3 | 相互に関係 | 仙腸関節 | ⇔ | 他症状 |
仙腸関節付近の痛みに対し、仙腸関節のみのトリガー(発端)を疑い単体でのアプローチをするのは、時間や労力といった効率面では合理的かもしれませんが、もし複数トリガーによる痛みだった場合は、逆に非効率になります。
そうであるならば、あらかじめ10個なり15個なりの複数トリガーへの対処を仕込んでおき、改善有無の経過を観察する方が結果として可能性を網羅できますし、トリガーそのものへの対処が絞りやすくなります。
・複数トリガーの対処例
単体トリガー | 複数トリガー | |
本人 | スクワットのみ | 体幹を意識したトレーニング (上肢、腹筋、下肢等) |
施術者 | 仙腸関節付近のみ | 首前・後ろ、~腰、臀部、股関節、 ~膝前・後ろ、足首など |
「原因の断定」はいわば解決への最短の近道を選ぶ方法であり正論です。
しかし、デメリットとして、思考の狭まりによる他の可能性の検証不足や原因へのアプローチの硬直化が起こり、結果としてアプローチの精度を下げることになります。
思考が狭まった状態では、何らかのイレギュラー(Irregular)事象が起きたときに、こじつけと論理的言い回しにより症状と原因を結びつけてしまい、客観性に乏しくアプローチの正当性を疑えません。
思考が先行した状態とも言え、論理的な飛躍や矛盾に気付かなくなります。「正しさ」は自信になりますが、一方で盲目ともなりえます。
100人には100人分の骨格があり、原因の要素(生活環境、仕事、習慣等)が異なるため、同じアプローチが使える範囲もあれば、逆に使えないこともあります。
しかし、過去の成功事例にこだわりすぎると、アプローチの硬直化が起こり、タイプの異なる仙腸関節痛に対し、同じアプローチをすることになります。
実際は、100の成功実績があっても、1つのイレギュラーによって結果が覆るのが現場です。
そのため、例え方向性が違ったとしても常に新たなアプローチを試行し、1つのイレギュラーへの精度を高めるなければなりません。
完全で一分の狂いのない見通しが立つことはまずありません。一見すると回り道ですが、一つ一つを確かめ地道に進んだ方が近道になります。
「バランスの歪みが進み、CAT3(※)の状態に近づくほど仙腸関節痛のリスクが高まる」という所見があったため、当時、CAT3を中心に施術内容を組み立てていた時期がありました。
※CAT3はバランスの歪みの上限カテゴリーであり、それに対する仙骨矯正の型があります。
「CAT3への仙骨矯正がうまくいけば、自ずと仙腸関節付近の痛みが解消される」という思考に陥っていた時期とも言えます。
CAT3矯正の回数を重ねバランス的に改善されているにもかかわらず、痛みや違和感の改善度合いが芳しくない。それは、CAT3そのものの疑念となり、やり方に見落としがあるのか、そもそもCAT3と仙腸関節痛は関係性が薄いのかという霧中思考の状態となりました。
その時期を越し、次の課題に移れたのは、臨床の積み重ねがあったからです。仙腸関節付近では複数のトリガー(発端)となり、症状を引き起こすケースに気付きました。(『仙腸関節痛の複数トリガー理論』を参照)
また、全共通として、臀部のほぐしが必須だということも分かっています。
それらと組み合わせることでCAT3がさらに生かされ、改善への道が開けます。
施術者は原因をつぶして潰していくのではなく、原因の可能性を受け入れていく方がよいです。
仙腸関節への注射や手術、矯正等、直接的な処置を行う手法は存在し、各々において優れた点があり、手法そのものに優劣を付ける必要はありません。
問題なのは直接的な手法のみに過度な期待をし、間接的な手法の副次的な目的を理解しようとないことです。
例えば、トレーナが推奨する「腰痛防止用のスクワット」は有効ですが、筋肉が発達する速度と痛みが緩和される速度は同じではなく、数ヶ月先を見据えなければならないこともあります。しかし、数回の試行や短期間で手法に見切りをつけるのは、逆に根拠が乏しくせっかくの可能性を潰すことになりまねません。
バランス矯正についても同様であり、速攻で順応し効果があらわれる身体ではないからこそ、不調リスクが高いのです。
実際、身体のバランスに歪み(カテゴリー3(CAT3))があらわれており、部位負担の悪影響がみられる場合において、患者側が「仙腸関節を重点としたアプローチ」にこだわり、回数と期間をかけてのバランス矯正を不要と判断するケースがありました。
このケースではCAT3と部位負担の改善を優先する方針でしたが、こちらの方針と相手の要望と相容れず、結局は早期に中止しています。
現場では患者側が受けた(言われた)ことに対して意見を求められることがよくあります。
「AKA博多法を受けているがこのままでよいか」
「ブロック注射を受けたが効果が心配だ」
「〇〇を鍛えることが仙腸関節痛に有効だといわれた」
などなど
もし疑問があるなら、その手法を行っている人に疑問をぶつけてもらい、ご自身で判断してもらうしかありません。
こちらの勝手な解釈で判断を誘導してはいけませんし、患者の憂慮に便乗してこちらが有利になるようにしてもいけません。それは手法を用いている人に対しての不義となってしまいます。
また、患者側が判断を迷っており後押ししてほしい場合、責任の一端を相手に担ってほしいと思い、逆に意見の誘導を行う素振りをみせます。
しかし、判断は本人が責任を持ってすべきであり、連帯保証するものではありません。
突き放す言い方になるかもしれませんが、良い顔を見せるだけがコミュニケーションではないと考えています。